学習 書評

【書評】「声優、東大に行く 仕事をしながら独学で合格した2年間の勉強術」佐々木 望 著

2024年5月23日

声優、東大に行く 仕事をしながら独学で合格した2年間の勉強術

今回紹介する本は、

「声優、東大に行く 仕事をしながら独学で合格した2年間の勉強術」佐々木 望 さん著。出版社:KADOKAWA

佐々木望さん。幽遊白書の幽助をはじめ、多くのキャラクターの声優をされている方です。そんな佐々木さんが44歳から受験勉強を開始し、46歳で東大に合格。このちょっと珍しい出来事をご本人の視点から語ってくれる本になります。

なぜ44歳で大学を受験しようと思ったのか。きっかけから勉強方法まで、仕事を続けながらの佐々木さんの挑戦が書かれた本です。

なぜ44歳で大学進学を目指したのか

声優になったきっかけから、声優業をしていく中で、困難に出会い、復帰するための学習過程で勉強することの楽しさに目覚めます。さらに、趣味で続けていた英語学習がきっかけで、ボストンへ短期の語学留学を行います。そこで出会ったホストファミリーの方に、海外では新たなキャリアを選ぶために大人でも大学に入り、学ぶことは普通にあることと知り衝撃を受けます。

そういった事柄が積み重なっていって、さらに、大学の公開講座に参加したことで、佐々木さんの新たな道への挑戦が始まることになります。

ある日、ふと「いっそ大学の授業を受ければいいのに」という声が聞こえた気がしました。「どのみちキャンパスに通うんだから」内なる自分の声でした。

「声優、東大に行く 仕事をしながら独学で合格した2年間の勉強術」

この内なる声に耳を傾け向き合い、そこから東大を目指すことを目標に勉強を重ねていきます。

大人の受験体験記

人気の声優ですし、お仕事自体も多忙だと思います。そんな中、勉強の時間をとって、東大への進学を目指す。そんな大人の受験体験記が読めます。大学受験に興味がなくても、「仕事+何か」を両立する時の刺激を受けることができます!

趣味で続けていたという英語に関しては先に英検1級を取るほどの腕前。さらに通訳案内士という資格も取得し、英語は受験勉強はせずとも点数を取れる力はお持ちでした。ただ、他の科目については、ほぼ0の状態からスタート。高校卒業してから25年以上経っていますし、そうなりますよね。なので、受験の戦略を立てながら、合格に向けて勉強を積み重ねていきます。各科目の勉強法なども載っているので、色々と工夫されながら、習慣化し勉強を続けられていたことがわかる記載が多くあります。

大学に入学してからの話もあります。東大に入ってから、何を専門的に学んでいくかを考えていく時のエピソードなどが書かれていたり、授業の時のエピソードなどもあったりと、充実した大学生活を送っている様子も読めるんです。

受験だけの話で終わらず、目標を叶えて大学に入学した後の様子までわかる本です。充実した学びをされている様子は、読んでいるこちらも何だかわくわくしてしまいました。

とにかく佐々木さんの行動力がすごい

佐々木さんの行動力の凄さがすごいんです。短期留学したり、大学へ行くということを決めてしっかり勉強をしたり。中々、仕事を続けながらできるものではありません。仕事をしながら、何か新しいことにとなると、中々余裕がなかったりしますよね。自分の心の声を素直に拾って、行動を起こせる。そういった行動を辿れるので、刺激を受けます。

佐々木さんの行動力を見ていると、自分も何か挑戦してみようと思えてきます

また継続に関しての考え方も参考になる部分が多いです。実際、仕事をしながら2年に渡る受験勉強をしてきた佐々木さんなので、継続のコツなども紹介してくれています。

もちろんその部分も役に立つのですが、続かなかった場合のことも書かれています。その部分にも感銘を受けました。それは三日坊主に関して書いてある部分です。

「三日坊主」であっても、それをしなかった三日に比べて、それをした三日は、その人の貴重な経験になる。

「声優、東大に行く 仕事をしながら独学で合格した2年間の勉強術」

ということが書かれています。

続けられなかった自分を責めるわけでなく、やってみて自分の向き不向きを理解することの重要性を意識されています。佐々木さんはご自身の欲求とぴったし合う「勉強」ということに巡り合えました。なんでも色々挑戦してみる精神が、すごい行動力を生み出しているんです。自分から新しいものを始めてみたいと思っている方にとって、刺さる言葉が多くありますよ。


おわりに

年齢問わず、何かに挑戦してみることの良さを、知ることのできる本でした。特に仕事をしながら、やりたいこともやるという姿勢は本当にカッコいい!すごく感動しました。

佐々木さんの生き方を見ていると、ふと以前読んだ「人生のレールを外れる衝動という生き方」を連想しました。自分の心の声をしっかりと理解し、それをもとに現実に行動していく。その様は、まるで衝動を上手く現実に落とし込んでいるかのようです。
本書を読んで、楽しめた方はぜひこちらの紹介記事もどうぞ↓
「人生のレールを外れる衝動という生き方」の紹介記事

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ユキト

本が好きな一般人です。様々なジャンルの本を毎年100冊以上読んでいます。2024年4月から個人ブログ「ざぶざぶっく」を運営中。 ユキトのプロフィールはこちら! 洋書が読めるようになりたくて英語多読も実践継続中!100万語突破しました!

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