今回ご紹介する本は、
「人生のレールを外れる衝動のみつけかた」谷川 嘉浩さん著です。出版社:筑摩書房(ちくまプリマー新書 453)
やりたいことが中々見つからない、夢中になれるものってどんなものなんだろう。そんな悩みを持っている人も多いんじゃないでしょうか。私も、自分自身がやりたいことを色々考えたりすることもありますが、本当にこれがやりたいことなのか、その区別がつかずに悩んでいたりしました。
我を忘れほど夢中になれるものの探し方を書き記した本書を読んで、夢中になれるものを探すきっかけをつかめたので、ご紹介します。
衝動とは?
本書のテーマになっている衝動。衝動とはいったいなんなんでしょうか。本書では衝動を色々な角度から見ていきます。
本書で取り扱う衝動は、
自分でもコントロールしきれないほどの情熱。非合理で説明もつかない、自分でもなぜそれに駆り立てられるように没頭しているのかよくわからない、そういう熱量が湧き出してしまう状態のこと。
人生のレールを外れる衝動のみつけかた
「憑りつかれたように何かに向かう」という意味で、「衝動」と言い換えることもできます。
というものになります。
衝動を捉えるために
何となく理解はできる衝動という言葉。
本書ではそんな衝動をより明確にイメージしやすくするために、漫画をはじめ、様々な参考文献を見ながら考察していきます。
私は始めてこの本を読んだ時、言葉の定義などの部分が結構難しいなという印象を受けました。ただそんな中、「葬送のフリーレン」や「チ。」といった漫画のキャラクターを例に上げ、こんな状態が衝動だ!と提示してくれるので、イメージができるようになりました。
しっかりと衝動という言葉を捉えて定義することで、自分の中の衝動を探すための準備をしていきます。
衝動を探る上で重要となるのは、偏愛というもの。
本書では、個人的で特定化された具体的な欲望のことを「偏愛」と読んでいます。
人生のレールを外れる衝動のみつけかた
……(中略)
こうした偏愛の延長に衝動はあります。偏愛は衝動が具体的な行動として出口を見つけたときに用いられる言葉です。
衝動を探すために、個人的な深い欲望を探っていきます。その過程もしっかりと定義されながら、考えていくことができます。
哲学者の方が書いた本ということもあり、それぞれの言葉の定義がしっかりと行われています。そのため、読み進めるのが少々難しい印象がありました。ただ、始めて読んだときに、この本の内容はすごく気になるから理解したい!という気持ちが強くあり、すぐに2週目に突入しました。2週目を読み終えた時に、腑に落ちた感覚を得られたので、自分の中で消化する時間はかかりましたが、納得の内容でした。
衝動の活かし方
自分の中の衝動を見つけた後の活かし方も書いてあります。
ただ社会との折り合いを考えず、ただ衝動にしたがってしまうと色々とNGな行為を行ってしまう可能性もあります。そのため、衝動を活かした計画性のある生き方に落とし込むための考察がされています。
仕事を絡めた「ほんとうにやりたかったこと」といったキャリアについてと、衝動の違いにも言及しています。必ずしも衝動は仕事の面で活かせるとは限らず、趣味など別の方法で衝動を活かしていくことも視野に入れ、多面的に考えることが進められています。
ただ社会的な成功という面に固執しすぎてしまうと、そもそも衝動というものの活かし方を捉え間違えてしまうという点も、コラムで指摘されています。
ただ個人的には、やっぱりどうしても仕事面と関連付けしたくなっちゃうんですよね。衝動たる活動を仕事の時間含め、向き合えた方が人生楽しそうだなと思えてしまうので。必ずしも仕事で活かせるとは限らない衝動ではありますが、どうしてもやってしまう夢中になれるものを見つけられると、人生の活力になりそうです。
おわりに
衝動を見つけるのは、かなり大変そうです。
安易にこれだと決めつけることができず、ゆっくりと自身との対話をし、探していくことになります。私も過去の行動で、夢中になったり、没頭してしまったことを思い返しては、なぜそれをやっていたのか自問する日々が続いています。まだ答えに辿り着いてはいませんが、それを掴むことができた時には、きっと生き方に大きく影響するものを得られる気がしています。
本当にやりたいことという言葉だけでは、なかなか自分がやりたいことを探せない。そんな悩みを持っていた私にピッタリの本でした。同じ悩みを持っている方はぜひ読んでみてください。
余談ですが、私も自分自身の衝動を探すため、自身に色々と問いかける日々が始まりました。谷川さんの言う通り、簡単には見つけることができません。本当にこれが衝動なのか、と何度も確認しながら、自分を見つめ直しています。
ただ最近、ちょっと夢中に遊んでいたことがあったので、最後はその話を書きます。これを衝動というには、ちょっと違うのかもしれませんが……。
私はゲームも好きで色々と遊んでいます。稀にゲーム内でもなぜそんなことをって感じで繰り返してしまうことがあるんですよ。ただのゲーム中毒ってだけなのかもしれないので、衝動探しの参考にはあまりしないでください(笑)。衝動というより、ゲーム側のプレイヤーへの働きかけ方が上手で、熱中していただけな気もすごいしています。
最近、パルワールドというゲームにハマってました。色々とできることが多いゲームなんですが、私はその中の一部機能である拠点作りに夢中になってました。拠点を機能させるだけなら、最低限必要なものを適当に配置すればOKなんです。ただ、その時の私は、こんな拠点を作りたいという妄想が捗ってしまい、拠点を作っては壊して、作っては壊して、を繰り返していました。何度も最初から組み立てていく、というのを10回くらいやっていたんですよ。
なんであんなに繰り返していたんですかね……。ちょっとずつ拠点ができていく過程も楽しかったですし、できた後も次はもっと上手に作れるはず!とか思って、何度も何度もやっていました。
そんなことを考えていると、また拠点作りをしたくなってきました……。果たしてこれは衝動なのでしょうか。それともゲーム中毒なだけでしょうか。
とりあえずわかりませんが、拠点作りにいってきます!(笑)